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zakkuri_zakkuri's blog

140字じゃ伝えられないことをときどきね。

記事と広告の一体化とは本当に可能ですか? ~メディアと一体化した広告コンテンツの展開を考える~

お久しぶりです。

 

先週非常に関心を持ったニュースがありました。デジタルメディアの新商品のリリースではありますが、今のネット広告業界、特にデジタル専業の広告に携わる会社がメディアと言うものをどのように捉えているかを知るのに、非常に興味深い案件です。

 

cci、「ザ・ハフィントン・ポスト」日本版で「Category Sponsored」広告を提供開始

http://www.cci.co.jp/news/release/2013_09_17/02.html

 

 

「カテゴリースポンサード広告」と定義しているものの、どのような形で露出するのかは、2013年9月24日の段階では分かりません。ただリリースを読むとこんな文章があり、少し気になりました。以下の文章です。

 

Category Sponsoredとは特定のテーマに沿ってカテゴリーを設置し、記事と広告が一体となったコンテンツを作成する取り組み。今回は「企業の社会的責任(CSR)」をテーマにしている。」(原文ママ)

 

 

ここでWOMJで記述されている、広告と情報発信者との関係について、下記に抜粋します。

 

Ⅵ. 関係性明示

1. 情報発信者に対し、WOM マーケティングを目的とした、重要な金銭・物品・サービス等の提供が行われる場合、マーケティング主体と情報発信者の間には「関係性がある」と定める。関係性がある場合には、その関係性は情報受信者が容易に理解できる方法で明示されるべきである。

2. 関係性がある場合には、情報発信者に対し原則として関係性明示を義務付けなければならない。義務付けることが極めて難しい合理的な理由がある場合には義務付けなくてもよいが、その場合でも関係性が明示されるよう最大限の努力を行わねばならない。

3. 関係性の明示の際には、WOM マーケティングのマーケティング主体の名称と、情報発信者への金銭・物品・サービス等の提供の有無は示されるべきである。金銭・物品・サービス等の提供の内容についても、詳細に示されることが望ましい。

※WOMJガイドラインより抜粋 http://womj.jp/womjguideline.pdf

 

もちろんcci社はWOMJの加盟社であり、

http://womj.jp/members.php

この「関係性の明示」と言う部分に記載された事項については、熟知されているものと思っています。

この前提に立って、今回の広告商品について考えると、これは大丈夫かなと思われる部分がいくつかあったので、それを疑問点としてあげます。

 

■疑問点

①     そもそもこれは全体として「記事広告」として展開するのか?それともハフィントンポストのコンテンツ(記事)として展開するのか?もし別々の場合、「記事」と「(記事)広告」の主張の間に齟齬が発生した場合にどのように対処するのか。「一体化」というのはどういうことなのか?

②     上を受けて、「コンテンツ(記事)=CSR」として展開・主張が、ハフィントンポストの社論、見解と異なった場合、どのように記事を展開するのか?

③     企業CSRとのことだが、まさに企業の経営の柱とも言うべき主義主張に対するそもそもハフィントンポストの見解は全面的に是とするものであるのか?もし相違点が出てきた場合、それをメディアとしてどのように説明していくのか?

 

さて今回の広告商品について、記事コンテンツの展開として、ハフィントンポストと広告主との間の関係性は明示されるでしょうか?特に記事部分に!

 

ワタシ個人の意見としては、こういった展開をしていく場合には、きちんと「広告」であることを明示することが重要であると考えています。万が一ではありますが、広告主に不祥事があったとして、メディアとしてその事件を糾弾するということになった場合のことも考えているのでしょうか?その点をうやむやにして、「コンテンツスポンサード」という「記事」なのか「広告」なのかも曖昧にしたままの展開は、それこそWOMJの定めた方向性に沿わないものでしょう。

 

それから、「カテゴリースポンサード」の本来の形は、「メディア側の主張に対して、スポンサーが協賛する」というものであるとワタシは考えています。テレビでいう「冠スポンサー」は番組の内容に対して基本的には口を出さないのが原則です。ただコンテンツを展開するに当たっては、そのメディアの信頼性であったり、クオリティを担保することが本質的に広告主のブランドに寄与するという、その点がメリットになると考えています。そして既存マスはそれができるし、これまでしてきた実績があります。

 

今回一番大丈夫かな?と思ったのは「CSRをコンテンツとして展開する」という言葉です。広告主とメディアが別々の企業である以上、CSRの部分で完全に賛同するなどと言うことはありえない。それはいくらカテゴリーを絞ったところで同じことです。企業は生きています。CSRの方針が年々変わることは、社会環境の変化があることを考えれば当然のことです。それなのに、リリースではその部分を軽々しく「記事と広告が一体化」などと言い放ってしまっている。大丈夫でしょうか?

 

 

今のところこの企画のローンチはまだのようですが、企画が開始した際には注視したい案件です。さらに厳しいことを言うと、「メディアレップ」を名乗る会社が本当に「メディア」というものが分かっているかをはかる「試金石」になるとも考えています。10年を超えてメディアレップを名乗ってきた会社としての理解度が問われるといっても良いのではないでしょうか。

 

【追記】

本文中でWOMJの事例を挙げたのは、ハフィントンポストが

ニュース、ブログ、ソーシャルメディアを組み合わせたサービスで、記事にコメントを付けて議論をするという使われ方が特徴だ」

http://biz-journal.jp/i/2013/05/post_2053.html

という前提に立っているからです。もちろん、もしその後方針転換をして、そうではでない「静的」なメディアであったとしても、広告主体の明示というメディアとしての大前提が崩れるものではありませんが。